プールに来ている小学校6年生の男の子。
明日、誕生日を迎えるそうです。
今日はプールに来た時からすでにワクワクが止まらない様子(笑)
ずっと文字通り「浮足立った」様子で、跳ねるようにして歩くし、小走りになるしで、なんとも可愛らしい姿でした。
内心微笑ましく眺めているのですが、やはりプールの施設の中では小走りなども控えていかなくてはいけません。
通路は狭くて、人とぶつかったら大変です。
特に高齢者の方も利用しているから、小学校高学年男子がぶつかったらあっという間に転倒してケガをさせてしまうかもしれません。
プールサイドでは、滑って転倒する可能性もあります。
もちろんそもそも施設を利用するにあたっての決まりごとの中に「プールサイドは歩く」ということがありますしね。
そこで僕は、このワクワクを損なわずに、この小走りを止める方法は?と考えるわけです。
もうこれはお喋りしかない!と思いました。
内から溢れるものが小走りとして表出しているのであって、表出の方法が変えられればというところだと思いました。
誕生日の過ごし方、プレゼント、ケーキ…とにかくワクワクの要素を一つずつ、聞いていきました。
本人もとても楽しそうに話します。
話をしていく中で思っていた通り、行動は少し落ち着きを見せました。
それはそれでよかったのですが、一つ気づきがありました。
彼が「どう伝えれば良いのか分からないんだよ」という言葉を漏らした瞬間がありました。
どうやら明日が誕生日だと知っている周囲の人たちが、やはり誕生日についていろいろと尋ねてくるそうです。
それについて、「どう話せばいいのか分からない」「どう伝えれば良いのか分からない」のだそうです。
なるほど。
確かに言われてみれば難しいかもしれない。
そこで1つずつ、質問を細分化して聞いていくことをしました。
すると、最初は「プライベートなことだから話したくない」と胡麻化していたことも楽しそうに話して聞かせてくれました。
そう。
嬉しいことだって、分かち合いたいという気持ちがこの子の中にもしっかりあるんです。
でもその伝え方が分からないから、黙ってしまって、表現の術が身体を動かすことに寄っていってしまったというだけのことなんですね。
なんだかとっても素敵な場面に立ち会えて、得した気分になりました。
本当におめでとう。
素敵な中学生活がスタートすることを願っています。