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2024年2月27日火曜日

1年間のプールの成長記録♪

 今日はプール活動の一つの成果をご紹介します。


小学校高学年男子。

知的、自閉スペクトラム。


彼は、泳ぐこと自体は大好きで、今ではクロール、平泳ぎ、背泳ぎまでバンバン泳ぎます。

でも、彼はぐるんぱのプールで学びの真っ最中。

「泳げる」ということの他に、長くプールを楽しもうと思ったら必要なスキルがたくさんあるからです。


なんといっても地域のプールで楽しもうと思ったら、他の人と折り合いをつける必要があります。

周囲の状況を見てスタートしなくては他の人と接触して、場合によっては事故、ケガにつながります。

特性故でしょう、ついつい〇で一人でプールに来て、貸し切りのように過ごしてしまう一面がありました。

僕と一緒にプールをしているという感覚、認識。

周囲に人がいるという感覚と認識。

これをどのように身に着けるか?ということをしばらく考えながら関わってきました。


「周りに人はいませんか?確認してからスタートしましょう」

こういうことを伝えることから始めました。

するとずいぶん遠くにいる人も「周りに人がいる」になってしまいます。

僕だって周りにいる人の一人ですし。

なかなかスタートできないことが続きました。

(…うん、足りない。)



「ぶつかりそうなところに人はいませんか?」と尋ねて、返事をしたらスタート、という取り組みをしてみました。

人が居ても居なくても「いません」とスタートしたさに答えてしまいます。

「ぇえ?いるじゃん!あぶなーい」と大袈裟に返して見せます。

(…うん、これだけでも足りない。そもそもぶつかるリスクを知らないと難しいよな)

そこで彼の「いません」でスタートをした先に僕が立ってみて、わずかでも接触したら「あぁ、いったー」とオーバーリアクションして見せました。

すると「あ、ごめんなさい」と直ぐに言葉が出ます。

(お、この認識はあるんだな)

「うん、こちらこそごめんね。でもぶつかると危ないよね」というこの流れを繰り返してみました。

徐々に、「周囲の確認」の精度が上がってきました。


こういうことを1年がかりで試行錯誤してきて、最近は「周りに人が居ませんか?安全だったらスタートしましょう」と僕も表現を変えて関わり合ってきました。

すると、首を大袈裟なくらいふりながら周りを確認して「いません」と言ってからスタートが切れるようになってきました。

しかも、背泳ぎのように特に後ろを気にしなくてはいけない泳ぎでも、その様子が見えるようになってきました。

(よし、ようやくここまで来た)という感じです。


次に僕が考えるのは、スタートが重なり合いそうになった時のこと。

ボウリングとかでも隣のレーンの人が投げるときにはまったりするじゃないですか?あんな感じで、重なりそうになったら待つ、譲る、譲ってもらう、ということが必要なんです。


これはかなり高度。


周りのお年寄り(ぐるんぱのことはよく知ってくれている)たちも、彼の練習に巻き込んでしまえ大作戦です(笑)

あえて、スタートしそうでしないという雰囲気を作って、周りの人から「先にどうぞ」とか「先にいい?」という言葉を引き出してきました。

そして、まずは僕が「お先にどうぞ」とか「すみません、先に失礼します」と応えて、やり取りを見せました。

徐々に本人にもそのことを言葉に出させることをしました。

この段階ではただの僕の言葉の反復です。

そして、数か月見せて、ある時「どう?先に行かせてもらう?行ってもらう?」と尋ねることを始めました。

最初は答えなかった彼が、促しを続けてきたら徐々に「先に行ってもらう」とか「先に行きまーす」という言葉を出すようになってきました。

(よーし、ようやくここまできた!!)この時点でガッツポーズです。


それが本当に今日のことですが、すっごくうれしい展開がありました。

近くを泳いでいた高齢女性が、「先にどうぞ」と譲ってくれたのですが、彼自身が僕を介さずに「あ、先にどーぞー、まだ行きません」と譲り返したんです!!

そして、手元で水をぱちゃぱちゃさせて水のしずくが跳ねるのを見て遊び始めました。


これぞ、地域での余暇活動という気がしませんか?

僕はある種の感動を覚えました。

気にかけてもらって、譲ってもらって、それを辞退して自分の意思を伝え返す。

この高齢女性の泳ぐスピードより、彼の方が泳ぐのは早くて、それを気遣って恐らく譲ってくださったのだと思いますが、「まだ行きません」とはっきり意思表示をすることで相手も気兼ねなくスタートをされていました。


今日一度のことなので、偶然なのかもしれません。

でも、一年前には想像もできない出来事が今日起こって、これだけでどんぶり3杯食べられますw

2024年2月21日水曜日

今週末学習会を開催します。

 今週の日曜日(2月25日)にぐるんぱの事務所で保護者向けの講座を開催します。

現在申し込みが9名。
事務所のスペースからするともう少し入れそうですので、興味のある方はどうぞ!(この企画のために模様替えをしましたw)
申し訳ありませんが、駐車場が足りないのでコインパーキングを使っていただくことになります。
東郷駅の目の前に事務所があるので、東郷駅そばのコインパーキングをご利用いただくのがよいかと思います。
テーマは「子どもの感覚に着目する」です。
以下を確認ください。
日程:2024年2月25日
時間:午前9時~11時(その後は14時ころまで自由交流自由解散)
場所:ぐるんぱの事務所(宗像市日の里1-2-2-203)
参加費:ぐるんぱの会員保護者500円、一般の方1000円です。
申し込みは永田まで。

新しいスタッフが入るので生徒も大募集です。

3月より新しいスタッフを仲間に迎えます。
30代の女性です。

特別支援のことをこれまでしっかりと学びを積んできた頼もしい人です。

土曜日限定で、学習サポートを担当してもらいます。

これまでもぐるんぱでは学習サポートをしてきましたが、より専門性のあるスタッフを仲間に迎えて、学習サポートを充実させます。

何度か面談を重ねて、彼女自身の支援観も、ぐるんぱの方針もすり合わせをして、主体性を持って関わってくれるであろうということを確信してお願いすることになりました。

これまで彼女が学んできたことを実践に紐づけながら、確かな時間を提供してくれることを期待しているところです。

まずは、これまで僕が担当してきた子どもを申し送りして引き継ぐ予定ですが、徐々に新規の子どもたちも見てもらおうと思っています。


お任せはしていきますが、これまでのぐるんぱの歩みもありますし、ぐるんぱらしく展開はしたいので彼女のフォローもしていきます。

素敵なスタッフが、存分にらしさを発揮できるような場を整えるのも僕の役割だと思っています。

通ってくる子どもたちやご家族の日常の延長線上に立ち会っていきたいと思っています。

ということで改めて生徒募集です。

特に土曜日の午前中は学習サポートの枠が数枠出来ます。
興味のある方は是非お尋ねください。


2024年2月19日月曜日

ステップアップもやわらかく

ステップアップを平面的に考えてはいけないと思います。

各ステップには奥行きがあります。

各ステップは平たんではありません。

時間軸というものだってあります。

自分自身のステップ以外に、周辺環境が影響を及ぼすことだってあります。

ステップを一段飛ばしでもいい場合もあります。


今の自分の立ち位置を明確にしながら、どこに向かうかさえ見失わなければ、そこへの道筋にはいくつかのルートがあってもいいのです。


ステップアップはできると「こうなりたい」に近づくかもしれませんが、しなくてはいけないものでのないし、自覚としてなくても実はしているということだってあるのです。


2024年2月17日土曜日

人に委ねることも大切(後半はハッキリモノを言いますw)

 僕もプライベートでは1児の父親です。
我が子のことは心から大切に思っています。

ですが、当然四六時中一緒にいることはできないわけです。
そうすると、彼と関わってくれている方たちに、お預けしている間のことについては委ねる必要があります。

この「委ねる」というのは、案外子育てでは大切だと思います。

学校、学童、祖父母、病院、習い事…息子を託す、というところでぱっと思いつくのはこういう場所です。

それぞれの場所に僕ら夫婦とは違った価値観を持った人たちがいるのです。
そして子どもを育んでくれているのです。
あるいは病院などは見立てや治療もしてくれるのです。

それぞれの立場と価値観で、それぞれの責任の下、様々なかかわりを持ってくださっています。
そこへ預けているのですから、判断やかかわりについても委ねるのが筋というものだと、僕は考えています。

何しろ、僕自身ができないものをお願いしているのですから。
出来るのであれば託す必要はわざわざないのです。

委ねることができず、相手の価値観に疑問があるということであれば、託さず自分でやる。

そういうある種の覚悟が子育てでは必要だとさえ思っています。

仮に僕自身が、それぞれの場所へ「我が子のことは1番分かっているから、こうしてください」と口を出すと「託す意味がない」というものです。

託すことができないのであれば、自分で多少の苦労をしながらもそばにいる必要があるでしょう。

委ねることに慣れていないと、ドキドキしたり、ヤキモキしたり、ソワソワしたり、イライラしたりすることだってあるかもしれません。

親心としては当然あるものです。
僕も多少はあります。
でも、そこをグッとこらえて「委ねる」のです。

そうすると、託された側は自身の責任で役割を全うしてくれることでしょう。
それぞれの専門性が違うのですから、違った視点や意見もあるでしょう。

それを承知して「託す」「委ねる」ということに挑戦してみてください。


↓ここから下はハッキリ書きます。


「大変なんです」ということで、誰かを頼ったり託したりするのであれば、委ねることまでセットでしてみてください。

オブラートに包まずに言うと「あなたのやり方だけでやってきて大変だったんでしょう?他の方法で上手くいくことがあれば良いじゃないですか」ということです。

それを「甘いからうまくいっているだけ」「家ではそうはいかないんだから止めてくれ」みたいに思って制止するのであれば、預けない方が良いです。

もっと言うと、「本当に状況を改善したいのですか?」という問いさえ突き付けられかねない問題です。

厳しいことを言うようですが「大変な中頑張っている」という自分を評価してほしいというだけで終わってしまいます。


関わろうとしてくれる周囲の人たちの根っこには「少しでも役に立てるのであれば」があるはずなんです。
「大変な中頑張っている」ということはちゃんと知ってくれています。

その「大変な中」から脱するための手段として立場によっては淡々と物事を進める人もいるでしょう。

そこに「大切な我が子をこんな“熱”のない人へ預ける」ことへ抵抗を覚えることもあるかもしれません。
でも、支えようとする人たちの多くは、「子ども」の中に「家族も含めた周囲」を含めて考えていくものです。
曲がりなりにもそれぞれのプロ。
おそらく、その人からすると、それが「必要」なのです。


この記事を見て嫌な気持になったり、苛立ちを覚える方もいるかもしれません。

けれど、僕自身はそう思います。

「委ねる」ことが出来ている人は、間違いなく輪も広がるし、より子育てが尊いものだと感じられるようになっていっているように思います。

2024年2月15日木曜日

西日本新聞に掲載されました

 今日の西日本新聞の朝刊にインクルささぐりのことが紹介されています。

良かったら読んでみてください⤴️
現場のスタッフだけでなく、裏方的に運営を手伝ってくれてくれている仲間も土台を作ってくれていて、そこへ通所してくる方たちも加わり、インクルささぐりの仕組みも風土も出来上がっています。
自慢の事業所です!
特に現場のスタッフはユニークで、それぞれが現場の支援だけでなく、運営やブランディングといった面にも積極的に関わろうと提案もしてくれます。
僕は「こんな事業所にしていきたいと思う」というビジョンと、「ここが気になる」という課題と、「こんなこと企画できないかな」ということを語りまくってきました。
それについて他のスタッフも同じ方向を向こうとし続けてくれています。
惜しみ無く、余すことなく、テーブルへ提案を出してくれて、存分にディスカッションもトライ&エラーもしてきました。
この1年で、そういうことが自然に行われる風土もしっかり根付いてきました。
見学へ来た方たちが
「ここに通いたい」
「ここで頑張ってみたい」
支援者側の人たちにも
「こんな現場で支援に当たりたい」
「障がいを持つ方たちの自立をサポートしたい」
手前味噌ですが、そう思わせるだけの自信もあります。
是非多くの方に見て貰いたい場です。
見学等はいつでも受け入れしています。
それから、4月18日と19日には、開業1年という節目ということで改めて内覧会を開催します!
制度を使い運営をし、仲間の知恵と工夫で付加価値を提供する現場です!

2024年2月12日月曜日

支援に多少のセンスはつきもの、という話。

 「センス」という言葉で片づけてしまうのは乱暴な気がしますし、それにばかり頼る支援はいただけないと思います。

それでも「センス」というものが多少は支援の現場ではあるような気もします。


僕がそれを強く感じる場面はいくつかありますが一つは「負荷のかけ方」という視点です。

「失敗体験を積ませない為に安全パイを取っていく」という方針。
「“あとちょっと”で乗り越えられて成功体験を積めそうなハードルを用意する」という方針。

まずは、目の前の子どもにどちらの方針を取るか?というセンスで分かれるところだと思います。
その次にそれぞれの方針の中で、対象児の状況や様子とズレが少ない負荷を用意できるか?というセンス。


もう一つ、これは支援者の主観?に寄り過ぎないように気を付けなくてはいけませんが、「どういうところに着目するか?」というセンスです。


例えば「お金の使い方」に課題があるとして「数字」や「数」の勉強をするという選択肢やお金には金種というものが存在するということを伝えるという選択肢があります。
これは、比較的「お金」に対して算数的なアプローチだと思います。

もう一つ「お金の価値」ということへの理解を進めるために「お財布を手作り」というアプローチもあると思います。


もちろん対象児の状況にもよりますが…

算数的なアプローチという支援者自身も「学校で習った」ことを中心に展開を考えるだけしか手札を持たない人と「自然に身に着けてきた」ことを支援の内容に活動として落とし込むことも手札として持てるのとでは、センスに違いを感じます。

どちらも手立てとしては「変わり種」「変化球」という程のものでもないので、こういう話になると多くの支援者が納得はすると思うのですが、「その子」に合わせて開けたい引出しをいつでも開けられて、手札を持ち出せたり、組み合わせたりできるのはセンスだと思うわけです。

知っているものに対して知恵を使って手立てへとつなげる感じですね。


先日、そういうことを簡単(そうに)サラッとやってのける支援者に出会って刺激を受けました。


僕自身も柔らかい発想で物事を捉え、センスを磨きながら丁寧に支援を続けたいと思います。