ページビューの合計

ラベル 教材 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 教材 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年4月26日木曜日

忘れ物をしたくない、という願いに寄り添って道具作り


 1枚目が表。
2枚目が裏。
3枚目は実際に設置したもの。

学習サポートで関わっている男の子。

彼は忘れ物が多いということに困り感を抱えています。
お母さんとのお話の中で、これまでの忘れ物に関するエピソードをいろいろと聞かせていただきました。

もちろん、それに対してメモを用意するなどの対策は講じてきたとのこと。
しかし、そのメモを見ること自体を忘れてしまい、メモがメモとして機能してこなかったということでした。

ここ最近では、新年度で配布物、提出物が多いのですが、それらをお母さんに渡すことも忘れてしまい、提出物もそのまま持ち帰ってきてしまうということを繰り返していたようです。

連絡帳にお便りを書いても提出し忘れることがあり、保護者と先生との意思疎通にも支障が少し出ていたとのことです。

連絡帳の記入する事も忘れて帰ってきてしまい、宿題が分からない、提出期限が分からない、その他の連絡事項が分からないということも頻発していたようです。
結局お母さんが学校に電話して…ということになってしまっていたらしいのですが、今後のことを考えても、こういうところを解消していきたいというのが、本人とお母さんの希望でした。


そこでなんとか手立てがないものか?と思い、先日の学習サポートの時間の中で、子ども本人と話をして、これまでにしてきた取り組みについて聞き、朝学校についてからの様子を聞き…朝はどうやらお友達と遊びたいという気持ちが先走って、カバンの中身を机に移す時には既に、目線が他へ向いてしまう、中身を確認せずにまとめて机に入れてしまうということが見えてきました。
帰りには、みんなが連絡帳を書いている時間にもついついお喋りをしていたり(本人曰く、他の子はおしゃべりしながら書いているようだけど、自分は書けないでいるそうです)、先生の話を聞きながら書くという事にも難しさを抱えていたりするようでした。

そこで、「カバンから目を離すと朝も帰りも支度が出来ない」という一手間を挟んでもらうことにしました。
これで、嫌でも目に入るかな?と。

これまでメモをカバンに貼ったり、連絡帳に貼ったりしてきたものが機能してこなかったようなので、もう少し存在感のある仕掛けである必要性を感じました。
そこで、この形。

表面の右半分に朝に確認すること。
左半分に帰りの支度時に確認すること。
裏面は、翌日の準備をするときに確認すること。
という形で、用意してみました。

(チェックばかり、というのが少々気になるけれど、習慣が身に着くまで…本人も気にしているし)と言い聞かせて作りました。


マグネットシートに油性ペンで必要事項を書き、その日ごとに忘れたくないものは、ホワイトボードマーカーで記入するという形式を採ります。
固定するものも、ネックストラップを採用。
原則ランドセルですが、遠足のように普段と違うバッグを使う時にある程度使いまわしが出来ることを考えて。

製作開始当初は、紙に書いたものをラミネート加工して、釣り糸のような目立たないもので固定ということを考えましたが、作ってみたら軽くて、カバンの開け閉めの勢いに釣られて、確認せずともカバンの中身が丸見えになって蓋の機能を果たしませんでした。
そこで重みのあるマグネットシートに。

あとは使い勝手を見ながら修正の必要性があったら多少手を加えるということも考えてますが、それは追々。

とりあえず、本人も使用することに抵抗を示さずに、「これならいけるかも」という前向きな気持ちでカバンに着けてくれたようで良かったです。

目立てば良いというものでも無くて、本人が嫌がらないものであることはとても大切です。

提出物等は恐らく、習慣づけば道具なしでも出来るようになってくるであろう子です。
習慣づくまでのサポートアイテムです。
ある程度の時間を置いて、様子を見たら次は、アイテムを外すための段取りを考えていきます。
そこまでしていかなくてはこれも意味がないのです。

道具が出来た、で終わりではなくて、ここから。

2017年1月18日水曜日

「分かりやすくなったねぇ」

今日はキッズクローバーでの学習サポート。
そう、マイケルジョーダン先生の日です(笑)

ただ、彼とのやり取りの紹介が続いていたので、別の子とのエピソードを。



中学生のHちゃん。
今日は漢字の書き取りが宿題で出ていました。
かなり難しくなってきているようで、弱気になってきている彼女。

その様子を見て一つ、僕がいないときでも学習の一助になればと思い、その場で(Hちゃんのすぐ横で)ちょっとしたアイテムを作りました。


一辺10センチの正方形を書き、縦横に区切って「田」の字にします。
漢字練習用のマスですね。

これくらいの大きさだと漢字の練習には程よいかな、と。
いろんな子で活用してもらうのに使い勝手のいい大きさである必要があります。
形をしっかりとらえるのにはこのくらいのサイズからスタートが良いと思い、取り敢えず10センチで作ってみました。

これだけの状態でも、ノートやプリントのマスよりかは大きめなので、練習はだいぶしやすくなるとは思うんです。

でも、子どもによってはもう少し具体的な方が良いかな、と。
もちろんHちゃんにも使ってほしいとの思いもあって、区切ったマスをそれぞれに色分けまでしてみました。
これで、線の長さや通る場所をよりはっきり捉えられるんじゃないかな?と。

これをキッズのスタッフさんにラミネートで加工してもらえば、ホワイトボード用のマーカーで練習が繰り返しできるんです。

これには、お手本を書いても良いし、本人が書いても良いし、ノートの下に敷いて使っても良いし…あとの使い方は支援者の工夫次第。


(本当は大きさも幾通りも用意して、徐々にノートのサイズに近づけるのが良いのかもしれませんが、それはそれぞれの子に合わせたものをスタッフさんに任せるとして…)

とにかくこういうものを用意してきました。


そして、面白かったのはこのアイテムを作っている時のHちゃん。

Hちゃんの横で作っていたら、興味津々で「何作っているんですかぁ?」と尋ねられたので、「見ててごらん」と応えました。
「あなたの宿題にも使えるものだよ」とだけ伝えて。

すると途中で「マスかなぁ?」と言い出しました。

永田「そうだよ、先生がいないときとかこれ使って漢字の練習してみてね」
Hちゃん「わかったぁ」

それから、マスを色分けし始めたら、「分かりやすくなったねぇ」と彼女が言ったんです。
使い方も説明していないし、完成している訳でもないんですが。
「漢字を練習するマス」という情報だけで、使い方や使っている姿を想像したのかな?

その辺は定かじゃないですが、そういう一言を言ってくれました。

制作の段階のことでいうなら大成功。
使い手が「使いやすそう」と思ってくれない事には使ってもらえないですから。
第一段階クリアかな?

実際に使ってみて、使い勝手がどうか?というのはまだ分かりませんが、使う本人が思い描きやすいものが作れたことは良かったです。



療育のための道具とかって買おうと思うと高いんですよね(笑)
僕もいろいろネットとかお店とかで見たりして良いなと思っても、なかなか買わない(買えない)です。

「似たものが作れないかな?」「あの子にはこれよりもこうしたほうがいいかも…」と参考にして作ってみます。
もちろん、モノによっては買った方が到底手作りできなかったり、長持ちしたり、使い勝手がいいものもあるので、毎度天秤にかけるわけですが…

出来れば、身近なもので作りたいんですよね。


家庭で継続的に療育に取り組むためにはお金をかけない、というのは原則になると思いますし。

それに、手作りしてみて目の前の子に「合う」「合わない」を確かめながら改良を進めることで子どもの認識も深まりますし。


教材は出来るだけ手作り。
前職場で学んだ大きな財産です。

2016年8月1日月曜日

見慣れた形に置き換えるだけで定着するかも

学習って、その性質上どうしても初めてのものと出会うことが多くなります。

でも、一般的に用意される課題や教材を見慣れたものに近づけることは結構出来るものです。

例えばローマ字の学習。

それまで50音などは縦書き仕様で学習する機会が圧倒的に多いのに、ローマ字になると横書きで学習するので、目が慣れないこともあります。

そうすると定着が遅くなることも有り得ります。

そういう時には、ローマ字の表などを見慣れた形に並び替えてあげたりします。

見慣れないものにはどうしても抵抗があったり、目や思考がついていかないこともあります。

教材を買って用意するのも良いですが、既に手元にあるものに一手間かけるだけで、大活躍することがあります。