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2020年10月10日土曜日

人を感じることが出来れば、意欲が沸いてくるもの

学校の授業になかなか参加できていない、という中学男子。

一緒に学習の時間を過ごしていても、しばらくは着席できず周囲をぐるぐると歩き回っています。
声をかけずにいると、直に少し離れたところに一人で腰を掛けてしまうこともあります。

ですが、それは「声をかけずにいると」という場合です。

「学習とかせんでも良いから、こっちに来て、もう少し近くで一緒にすごそうよ」と声をかけると、直にこちらに来ます。

それから僕はしばらくは、積極的な関わりは意識的に減らします。

「傍で過ごす」ということに応じてくれたので、この先は少し彼に舵取りを委ねて、「彼がどう過ごしたいのか」を見極めます。

すると、彼は話をし出します。
自分の好きな話を取り留めもなく。
僕はその話を興味深く聞き、相槌を打つのみ。

彼の表情がイキイキしてきます。
一人でウロウロとしているときには無表情だったのが、です。

彼の話は興味深いですが、マニアックすぎて僕には少し…というかメチャクチャ難しいです。
それでトンチンカンな質問や初歩的な質問をしたり、曖昧な相槌をしてしまう僕に気遣ってかみ砕いて話をし直してくれたりします。

相手が同じレベルで会話が出来るとか、理解を示してくれるとか、彼にはそういうのは重要ではなくて、彼自身を受け入れる姿勢を示してくれることが、彼には重要なのでしょうね。


彼は、そうやってある程度(かなり)喋って、満足感を得ると、促さずとも持参した学習道具を開いて、学習をし出します。
そして、分からないところは自分で調べて取り組みもします。
それでも分からなかったり、更に興味を持ったりすると、僕に尋ねてきます。

学校では登校しても、もう何ヶ月もほとんど学習が出来ていない、教室にいてもほとんど席に着かず教室の片隅に作られた“休憩スペース(という名の一人になる部屋で、僕はそれが彼を孤立させるものになっているように見える)”でほとんど横になって過ごしていると言う話です。

でも、こうやって僕との週に2時間の学習では、確実にワークを2ページ取り組めています。
短時間、ということはあるかもしれません。
でも、遅刻して早退してくることも少なくない彼。
その短い時間でも学校では出来ていないということを考えると、出来ない理由があるはずなんです。
あるいはしたくない理由が。


僕が、していることと言えば、ただ彼のお喋りに耳を傾けること。
それで学習機会が作れるのです。
「やらせる」ではなく、「一緒に過ごす」先に彼が学びを得ていきます。

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