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2018年7月8日日曜日

M君とのレッスンの下地作り

別記事に書いたM君とのプールの様子を、コミュニケーションにフォーカスして書いてみたいと思います。
全体像はそちらに書いているので、まずは↑を読んでみてください。
僕の中で矛盾しているつもりはないですが、多分、先の記事とは印象が変わると思います。

まず、彼が持ってきた不安は先に書いた通り「見通しが立たないこと」によるものだったので、彼にも見通しが立てやすいようにレッスンの流れは極力単純化していくことは大切にしました。
「よーいスタート」と反対側へ着いた時の目印へのタッチだけは、絶対に欠かさないこと。
これが多分、周りで見ている人が思っている以上に大切で、これを徹底するだけで、その後のレッスンがとってもスムーズになります。


それから、大音量だった「こわい」「いや、いや」「あぶない」という声。
これについては、まずは表出させること。
彼の持っている気持ちですから。
彼がどういう言葉と言い方、表情をチョイスするかというのは、彼の気持ちそのものだと思います。
これを声量に圧倒されて最初から鎮めようとしたら、まずアカンと思うのです。
周りに人もいるから気にはなります、僕でも。
でも、それを笑いながら見守ってくれる人たちだということを僕は信じていますし、そのことを彼にも知って欲しかったから、敢えて最初は止めませんでした。
そして自慢ではないけれど、そういうまなざしを送ってくれるよう、周りの人たちとのコミュニケーションも僕は、割と丁寧にしています。
周りの人の応援と理解なしには「出来るだけ地域で」「出来るだけ地域と」は成り立ちませんから。
ただ、ある程度表出と発散をさせたら、その声に対しても「やっていこう」というスタンスを僕は示していきます。
不安なのはわかります。
でも、自分の声でその不安をエスカレートさせ始めないように、です。
自分の声で言う暗示ほど怖いものはないと思っています。
だから「不安」だということとそこに含まれる微妙なニュアンスを僕なりに感じ取って、彼がある程度発散できたと思ったら「さ、そろそろいこうか」ということを示すのです。
その「不安」の代わりに「出来た」を口に出させるためです。
これもある種の暗示かな?
「出来た」と自分の声で自分に言い聞かせる感じです。


もちろん、彼と初対面だったら同じ方法を採っていたかは分かりませんが、彼との関係性は、日ごろは順調だったと思っているので成立するところはあると思います。
でも、基本的に僕はこんなスタンスなのだと思います。
ただただ、「不安」を出しっぱなしにするより、お互いに次につなげやすいと思っています。


複数回行ったトイレについて。
これはプールの水温で身体が冷えるという生理的な現象もありつつですが、緊張もしていたのでしょうね。
僕らが緊張してトイレが近くなるのと同じです。
それが今日のプールでは連続的に、継続的に緊張しっぱなしだったのではないかと思っています。
これは恐らくレッスンを重ねていくことで少しずつ回数が減少していくと思っています。
トイレに行くことで間を取っているのと、緊張で硬くなった体をほぐすことを彼は求めていたのだと思いますから、これについては基本的には寛容に見守る必要があると思っています。
実際、トイレを挟む毎に彼の情緒は落ち着いていきました。


ここまで書いたことを繰り返すうちに彼も「永田との関係は陸もプールも変わらない」ということを肌で感じ始めたのだと思います。
目も合うようになってきて、こちらの声も耳に届くようになってきました。
そこで、まず僕はビート板を持つというところにスモールゴールを設定しました。
手を放して他のことを始めそうになったら「あ、手はビート板」と要求をしました。
そうするとビート板を持つことが出来るようになりました。

次に、「足を動かすから進む」ということを改めて彼に感じてもらうために、彼が足を動かしている時にはビート板を引っ張り進む。
彼が足を動かすのを止めたら止める、ということをして「あ、足が動いてない。進まないぞぉ」ということを伝え、足を動かすことを求めました。
(時には「え~?もう終わり?」と煽るようなことも言ってみることもします)

どちらも割とスムーズにクリア。
もちろん、まだ僕がビート板を手放すのはもう少し先。
失敗も成功も含めて「経験」ですが、まだ失敗を経験させるには早いですから。

これで「出来た」と自分で確認をしていくことと、スタートとゴールを明確にして、レッスンの流れを彼に見通しが立つようにすれば、落ち着いて一緒に過ごすことが出来るようになります。
今日はこれからのことを考えた下地作り。
これから数回はこのような感じだと思いますが、それが土台になって、今後のレッスンを支えていきます。
このコミュニケーションの積み重ねが土壌となり、子どもの、今日のことで言うとM君の地域が広がっていくと思っています。

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