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2019年5月1日水曜日

時計が読めない辛さって思いの外大きい

時計が読めない、ということって、思っているよりもずっとたくさんの困り感に遭遇する気がします。

今、学習で関わっている中学生の男の子。
自閉傾向がある子ですが、知的にはグレーゾーンと言われるくらいの子です。

彼は、辛うじてデジタル表示の時計は読める様ですが、アナログ時計はほとんど読めません。

〇時、〇時半というくらいは、なんとか分かるようですが、それより細かい〇分という表記になると途端に曖昧になります。

算数(今年、中学生になったので数学と言うことになるけれど)の計算問題は、四則計算もできます。
応用問題になると難しいけれど、各単元の基本問題みたいなレベルだと、まぁまぁ解いていきます。

でも、時計が読めません。
だから、時間の計算になると途端にできなくなります。

「今、何分で、〇分までやるからね」と言って伝えると「うん」とは、応えます。
でも、それが「何分間」なのかと言う事には、もう1,2段階噛み砕いて説明しないと分からないみたいです。

ちょっと洒落た時計で、数字が書かれていない、点や四角で表記された文字盤になると、もうチンプンカンプン。

だから、時計を敬遠する傾向があります。

時計を敬遠して生活するものだから、時間感覚がなかなか身に着きません。


彼はプールでお付き合いをしてきていましたが、この春から学習もスタートしました。僕との付き合いも直に2年になるのですが、何曜日の何時から僕と過ごすのか、本人が把握していないことが先日分かりました。

プールで時計を確認する場面は何度か設けてきましたが、視力の問題で「プール内に設置してある時計が見えない」との本人からの申告で、時間についてはこちらで伝えてきていました。

会話をしていても、時間が分からないということには気づけませんでした。

でも、学習を一緒にしだしたら、それが見えてきました。


あまりにも時間を気にして、数分おきに「今何分?」と尋ねてくるので、初めは答えていましたが、その頻度があまりにも多く、彼自身が感じている感覚も、僕の持っているそれとはかなりのズレを感じたので、彼が確認しやすいように時計を用意しました。
それがアナログ時計だったものだから、この件が浮き彫りになりました。

彼自身が「時計、苦手」と言い始めて、話を聞いていくと「これまでお母さんとか先生たちに『コレをする』と言われて、やってきたから時間が分からんくても良かった」というのです。

なるほど。

指示待ちの生活をしていたわけですね。

聞けば、その日によって(恐らく体調とか情緒が影響している)感じる時間の長さにバラつきがあるようです。
「同じことをしていても、長く感じたり短く感じたりする」というのです。

まぁ、僕らも若干はありますよね。
それが彼の場合は全然違うようです。

計算問題を数問解いて、実際には5分くらいなのですが、「30分くらい経った?」となるのです。
反対に、計算問題を解いていて⒑分くらい固まっているように見えたから、声を掛けたら「早すぎる、まだ1分も経ってないやろ?」的なことを返して来ることもありました。


彼も「場面の切り替えが苦手」ということを言われるタイプの子です。

でも、時間感覚がこれだけ身に着いていないと、切り替え云々ではない気がします。
周りが感じている時間感覚とは違うのですから。
もしかしたら、声掛けをして5分待ったとしても、彼の中では1分経っていないくらいの時間感覚かもしれませんし。
まぁ、それを一般的には「切り替えが苦手」と括ってしまうのでしょうが。


指示待ちになって生活していて、さらに周りの時間感覚で行動を区切られて…

想像するだけで苦しいですよね?


その子、その人に合った生活ということを目指していかなくてはいけないと思います。

この子は、今のところ一般の高校進学を、本人も保護者も希望しています。
そういう生活を目指したとき、やはり時計を読むことやある程度の時間感覚の獲得は大切なように思います。


保護者と本人の主訴としては「教科学習」「試験の成績アップ」です。
でも、僕の方では「教科学習を通して」というところで関わっていくことを目指していこうと思っています。

半年後、一年後に、教科学習にもつながる形で現れて来てくれることを狙いながら。

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