昨日も「放課後等デイサービス えるそる むなかた」での学習サポート。
土曜日。
子どもたちは朝からやって来ます。
みんな1日をとても楽しみにしているんです。
たくさん遊べる土曜日は子どもたちにとって1週間の中でも特別な日なんですね。
なので、人数も多ければ、テンションも高めでスタートすることも多いようです。
昨日も朝からとても賑やかだったのですが、一人の男の子が何やらワァワァなり始めました(笑)
どうやら他の子との「すれ違い」がそもそものきっかけの様子です。
つい15分前まで「永田先生、もう少ししたら勉強しに行くね」と言っていたのに(笑)
リビングスペースで、他の子も大勢居る中で、始まったものだから、「あらら」と心配気に見る子もいれば、「またやってる」と苦笑いの子もいれば、「あいつまた泣くぞ」と面白半分になっている子もいました。
一応はその場で「どうしたん?」と尋ねてみましたが、「あいつが…!」と話を始めて、「あいつ」呼ばわりされた方も当然反撃、周りの子達も「こうだったやん?」と乗っかってきて、今度は「お前は黙っとけ」「だいたいお前は昨日…」と他の子の他の場面のことまで取り上げ出してしまいました。
火が大きくなる一方。
(ありゃ、しくじったな。これは場を移さねば、ますます収集つかなくなるな)と思い、彼を部屋から連れ出すことにしました。
「今、他の人まで巻き込みなさんな、ややこしい!取り敢えず学習に行くぞ。ここじゃ落ち着かんやろ!」と僕は彼をまずは一喝。
(言い分を聞き切らないうちに「一喝」と言うと変かもしれないけれど、部屋から連れ出すことが最優先だと思ったんですよね…そして他のやり方もあったろうけれど、「慰める」訳にはいきませんでした。次の展開のために)
半強制的に学習室に誘導(?)して、話を聞きましたが、今度は「なんで強制的に連れてくるの?こんなんじゃ勉強出来ないよぉ!」と大泣きを始めました。
永田「あそこじゃ、落ち着かんやろーもん?それにあなたも今関係ない人まで巻き込んで火を大きくするばかりだったやんね?」
男の子「だからってそれは嫌だよ!」
永田「あの大騒ぎの中で他の人にまで矢を向けるのも嫌だよ!」
男の子「もう、なんでぇー!!うわーーん!」
永田「で、何があったん?」
男の子(泣きながら)「○○がキッ!ってやって来て怪我した!」
見るとちょっとした、引っ掻き傷(ちょっと虫刺されを掻いて肌が白っぽくなりますよね?あのくらい)。
これでも彼の中にはショックとして残ったのでしょうね。
ただ、これであの騒ぎをしていると、そりゃ「大変」になっていくな、というのが僕の率直な感想。
永田「ショックだったのは分かる。でも引っ掻き傷やろ?それであんな騒いだらアカンよ。あなたの年齢的にも(彼は小学校の高学年)。他の方法を取らないと、さっきみたいに、みんなが乗っかってきて大騒ぎになるだけだ」
男の子「でも、人を怪我をさせるのは良くないことでしょ?だから分からせるためにぶっ飛ばそうと…」
(「怪我をさせるのは良くないことでしょ」の後に「ぶっ飛ばす」か(笑))
内心笑いそうでしたが、笑うわけにはいかない。
永田「怪我をさせるのはもちろん良くない、でもぶっ飛ばそうと思ったんやろ?あそこで?それをさせるわけにはいかなかったから、ここに連れてきたんよ」
男の子「なんでぇー!!うわーーん!僕だけいつもこうなのぉ?」
ここに1つ、この子の本音があるように思います。
「なんで僕だけいつもこうなの?」と。
普段は日常の流れの中で紛れがちだけど、ふとした時に感じてしまうのでしょうね。
一方で寂しさというのは感じたくないですから、彼自身で「紛れさせてきた」というところもあるように思います。
男の子はしばらく「なんでぇー!!」とある種の自問自答を繰り返して泣き続けていました。
これは、この子にとって大切だと思いました。
何かに紛れさせて「コロッ」と泣き止むのではなく、しっかりと消化していく必要が。
しばらくして、別の「出来事」が起きて、それが彼の耳にも届きました。
すると「ケロッ」と泣き止み、「見に行く!」と。
出たな(笑)
永田「行かんで良い、ここであなたは落ち着きぃ」
男の子「なんでー!見に行ったら落ち着くよ」
永田「ここでこれだけ騒いでいる人が、ワァワァなっているところに行って落ち着けるものね!」
男の子「そういうものなの!…なんでー!」
永田「そうやって紛らせるんじゃないの。」
また火が着いたように大泣き。
ここではまだ彼の準備が出来ていないので、僕は着いていきます。
永田「なんでー!!なんでー!!助けてー!ドラえもん!道具出してぇ!僕を落ち着ける道具出してぇ!」
僕に見える彼の様子を言語化と代弁。
チラッと彼はこちらを窺ってきていました。
(そう、自分の様子を見てみぃ)
「なんでー!」が減り始めました。
(よしよし…)
そうこうしているうちに別の女の子が学習室にやって来ました。
(ナイスタイミング!)
女の子「先生、勉強に入っても良いですか?」
はい、もちろん。
多分、この子も外で聞き耳を立てていたんだと思います。
そろそろ良いかな?と思ったのでしょうね。
そうやって部屋にはパニックを起こしている子と、冷静な子が一緒になりました。
男の子は、女の子に矢を向け始めたけど、彼女は相手にしません。
僕も彼の思う通りにはならない。
他の「紛れさせ」を探して、シクシクしながらも部屋の入り口にイタズラを仕掛け始めました。
襖を少し開けて筆箱を上方に挟み込んで、古典的なイタズラをセット完了。
内の人間が駄目だと知り、外に紛れさせを求め始めました。
それを僕は淡々と阻止。
「なんでー!」と再燃(笑)
でもこれで、紛れさせるものは無くなりました。
自分の中で、自分で抜いた刀を納める練習が始まります。
うわーーん!が、シクシクに変わり、しばらくしたら服の襟で(笑) 涙だらけの顔を一拭き。
ゆっくりと勉強を始めました。
拗ねてパーティションを立てて、視界から僕を外そうとしたりしながら(笑)。
他に求めるのではなく、自分の中で消化しようとする行為だと思ったので、黙認。
計算ドリルをしていたのでしょうね。
さらに数分経ったら、「自信が無いから1問目、答え合わせして、やり方が合っているか確かめてから、次にいこう…合ってた、これで良いんだな」とつぶやき始めました。
これまで直ぐに「先生、見て、これで合ってる?」と尋ねるだけ尋ねて、僕が確認中には、自分は他の事を始めて「人任せ」だった彼が、そういう行動を取ったので、作戦成功だったのかな?と、思った次第です。
更に数分経って、傾向の違う問題に出会って「先生、ここからがやり方が分かりにくいので教えて下さい」と。
よしよし。
妙な意地を張って甘えなくなることも無し。
更に「今は取り敢えずここまでやって、残りはまた後でします」と、僕に伝えて部屋を出ていきました。
僕は女の子との学習をしばらく続けた後、男の子の様子を見に行きました。
そしたら、他の子達と共に「落ち着いて」過ごしていました。
泣かせないのが良し、直ぐに泣き止ませるのが良し、ということでは無いように僕は考えています。
もちろん、時と場合によっては、泣き止ませる必要性がありますが。
でも、その「泣き止ませる」にしても、蓋をして、「見ない振り」を子ども自身にさせるのではなく、「今は納める」という感覚を持たせながら、してあげたいな、と僕は思います。
「自分で『刀』を抜いて、自分で納める」ここまでをセットにして考えないと、いけない気がします。
でないと幼い内は「可愛らしい」で受け入れられますが、成長と共に「いつまでやってるんだ」と、次第に輪からはみ出てしまうこともあると思うのです。
誰かに、何かに解決を求めなくてはいけない問題もあります。
でも、自分で消化をすることも練習していかないと。
僕も「良いときには出来るだけ維持を」「悪いときには少しでも良く」という支援を心掛けてはいますが、その土台を作っていくのが学齢期。
練習出来る子には練習をして欲しいのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿