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2018年4月19日木曜日

「外に行きたい」「帰らせろ」

パニックって、「ついつい鎮めようとしてしまう」と思うのです。
でも、パニックもまた、表現の一つだということを忘れてはいけません。

気持ちを溜めて、溜めて、溜めて…ドカーン。

そういものなんではないでしょうか?
それを安易に鎮めるというのはいかがなものか?というのが、僕の考え方です。
(そもそもそういう気持ちの表われを「パニック」と呼ぶこともあまり好きではないのですが…)

今日(日付は昨日か…^^;)、「放課後等デイサービスえるそるむなかた」で、そういう、いわゆるパニックを起こした子どもへの対応に入ったので、記録的に残しとこうと思います。

職員室でスタッフさんと打ち合わせをしていた時に、隣室で何やら子どもがパニックっぽくなり、キンキン声を上げていました。
(今、こうして振り返っても正確に言うとやっぱりパニックではないよな)

彼の主張はこう。
「外に遊びに行きたい」
「遊びに行けないのなら帰らせろ」
主にこの二つ。
実に子どもらしい主張で可愛らしい主張です。

けれど、職員の人員の関係で直ぐには無理だったのです。
残念ですけど、そういうことってあります。
安全面にも関わりますしね。
職員さんは「今はムリ」「だけど、玄関先の土間ならいいよ」という妥協案を提案していたのですが、それに納得出来ないようで、徐々にエスカレートしていってました。

しばらく耳を澄まして職員室にいたのですが、綱引き状態が長引いてきたので、ちょっと堪え切れずに介入してしまいました。

彼の様子を見たら、なんかくすぶっているような、そんな感じ見えました。
多分、新学期新年度の環境変化で戸惑いの中で生活している彼。
そんな中でとても頑張っているんですよね。
ストレスが溜まっていっているのだけど、上手いこと捌け口を見つけきれずに来ていて、出す機会を逃している感じがします。
外に出て身体を動かしたい、その彼の欲求は痛いほどわかります。
でも、今日はやはりタイミングが悪かったようです。
下校時刻がみーーんなバラバラで、職員も送迎に出ていて明らかに「今は無理」です。

(よし、外に出られないのなら、もう少し気持ちを出させてみようかな…出てこないかな?まずは煽ってみようか)

部屋の出入り口側に腰を下ろして、準備完了。
永田「どしたと?」
子「うるさい!」
永田「え?そう?あなたの声の方が大きいけどなぁ」
子「うるさい!!黙れ!」
永田「なんで?」(意地悪な問いかけ(笑))
(なんで?を掘り下げて出来れば彼の口から、「外に行きたい」の裏にある欲求を口に出させて…本人にも自分の言葉で、本音を言わせてあげたいな)

結局、今日のやり取りではそこまでいかなかったけれど。

子「いいから黙れ!帰りたいんだよ!こんなところに居たくない!」
永田「ふーん、そうなんだ。帰って何するの?」
子「もう寝る!」
永田「寝るんだ(笑)」
(「外に行きたい」っていう主張だったけど、帰ったら寝るんだね。)

この「寝る」って、多分「落ち着きたい」という彼の願いの裏返しなんだと思います。

(よし、もう少し。)

永田「『帰って寝る』ならここでももう少し待ってくれても良いんじゃない?」

そんなはずないんですけどね。

子「うるさいって!!」

永田「今はやっぱり無理なんだよね、他の子たちのこともあるし、ぜーんぶいつでもあなたのペースって訳にもいかないんだよ」
(ここが辛いよなぁ。放課後の自由な時間に制約が付くって)

でも、実際、職員側の調整だけでなくて、子どもにも折り合いをつけてもらうことをしながらでないと、場が立ち行かなくなることもあるんですよね。
だから代わりに発散させる必要があると思って、この方法を取っているのですが…併せて彼にも「足並みをそろえる」ということがここ(方デイ)でも必要だということを知って欲しいし…
僕もこの点については葛藤しながらですが、とりあえずは、この路線でもう少しやり取りを展開することにしました。

子「もーー!」

このタイミングで他の職員さんの打ち合わせする声が、彼の耳にも届いたのでしょう。
フッと静まって耳をダンボにしていました(笑)
(うん、本当に周りが見えなくなっているわけではないから、こちら側の言い分も分かってくれているんだろうね、君は。…よし、もう一押し)

永田「『もう少し待って』、って言っていて、『行かせない』とは言っていないんだけど?」
子「バカ!もう自分で歩いて帰る!外に行かせろ!お前もあっち行け!」
言葉の間も詰まってきて、いろんな主張がいっぺんに彼の口から出てくるようになってきました。

(そろそろかな…)

永田「…まぁ、今は無理やけん、もう少し待っときぃ」
(ここでガスを抜かせよう)

ここまで出入り口を塞ぐようにして腰を下ろしていたのですが、その「抜け道」を開けました。

すると案の定、彼は部屋から歩いて出ていき2階にある静養室へ入っていきました。
それまでキンキン声を発していた彼が静かに。
自分だけのスペースを見出し、落ち着ける作業に入りました。

(さ、ここから。一人の時間を作らせても、独りにさせてはいけないぞ)

部屋の直ぐそばで、中には入らなし、中から引きずり出すことも絶対しません。
ただ、彼が出てくるのを待つのです。

本当は、僕がここも最後まで責任を持つべきでしたが、他の場所へお呼びがかかってしまって、僕は退席。

他のスタッフにここまでの僕の意図を伝えて離れました。
もちろん、待っておけるのがベストですが、もしその方も場を外さなければならなくなった時のためを思って、その時には「あ、落ち着いた?」くらいにサラッと迎えてください、とだけ。

10分後くらい。
別の場所にいた僕にも聞こえるくらいのボリュームで彼が、笑って他の子と遊んでいる声が聞こえてきました。

何が「正しい」のかは分からないけれど、今日の対応は今日の対応で良かったのかな?

炭酸水のように、蓋をして振って、蓋を開けてパンパンになったものを抜く、今日のやり取りはそんなイメージ。

会話の部分も実際には10分近くあったのですが、僕的に要点はこのあたりかな。

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