1985年生まれ福岡県宗像市在住。西南学院大学国際文化学部卒業。 2008年福岡県警察に入職するが突発性難聴を発症し退職。 難聴や精神の落ち込みを様々なサポートで乗り越え、支援者という立場に回りたいと考え、2009年障がい児者支援団体に就職。障がい児者に療育的プール活動と学習支援活動を提供する指導員として勤務。 2016年福岡県宗像市で療育活動を提供する知的・発達障がい児者支援団体「ぐるんぱ」設立。知的・発達障がい児者、その他困り感を抱える子どもたちへの療育的プール活動と学習支援活動、福祉事業所顧問、保護者学習会主催などの事業を展開。一般企業へも発達障がい啓発・対応研修も行う。 「オムツの取れなかった10歳児がプールを始めて3か月でオムツが取れた」「家庭学習が定着した」「自傷・他害行為が減った」「従業員の仕事効率が上がった」など各家庭や社会生活に寄り添う支援を実践。 お問い合わせは、下記のいずれかへどうぞ。 メール:gurunpa.munakata@gmail.com 電話:090-5724-0660 ぐるんぱHP:http://gurunpa-munakata.jimdo.com/
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2020年3月3日火曜日
離席、ということについてのアプローチ
多動傾向のある子どもにつきまとう「離席」の問題。
僕と学習をしている子の中にもいます。
“ついつい”離席をしてしまうという子が。
でも大抵、離席の回数や時間は減ってきます。
それは、僕なりに見立てを立てて、そこへアプローチをしていくからです。
「教科学習」というところだけを見るとどうしても置き去りになるところです。
教科学習の内容理解や定着については、正直、後からでもどうにでもなる問題だと思います。
それよりもこういう離席の理由など、学習するための土台を支えるものへアプローチを重ねていくことが大切だと思っています。
でないと、「積み重ねる」ということが出来ません。
では、実際にそこへアプローチをするために踏んでいく手順をご紹介します。
もちろん日ごろの観察から、理由が分かるということもあるかもしれませんが、ますは見立ての仕方から。
1.「どんな感じがして立ってしまうの?」と、まずは聞いていく。
これで具体的に落ち着かない理由が聞き出せることもあります。
例えば、「足がムズムズする」みたいな言葉が出るかもしれません。
あるいは、「背中が落ち着かない」とか「お尻が痛い」とか…
もしかしたら「目が痛くなってくる」なんていう意外な話が出てくるかもしれません。
今、書いた例は、実際に僕が関わってきた例です。
子どもたちは意外な理由を隠しながら頑張っているということが分かると思います。
周囲の目からはなかなか見て捉えることが出来ない理由があるかもしれないのです。
さて、話を戻します。
話を聞いていく中でなかなか出てこないとき、次に何をするか?
2.「ちょっとじっとしてみて」と座ってもらう。
話で聞き取りが上手くいかないのであれば、実際に再現をして探るということもあります。
「ちょっと座っててね」と伝えたきり、何の声もかけず、待ってみます。
すると自然に動きたくなって身体を動かし始めます。
この時に“どこから動き始めたか”“どう動き始めたか”ということを確認していきます。
そこにアプローチの方向性が現れるはずです。
基本的にここまですれば、アプローチの方向性は見えてくると思っています。
では、先ほどの例をもとに具体的な手立てを紹介します。
先ほどの「足がムズムズする」というパターンの場合。
足への刺激入力という方向で考えます。
この時に提案したのは、足元に足つぼマットを置いておき、踏んで刺激を入れられるようにしておくということを試しました。
他にも、こういう道具がNGであれば、「行儀が悪い」と言われがちな貧乏ゆすりを許容していくということも試しました。
そういう風にムズムズするところへ刺激を入れるということをしてみます。
動くということは刺激を入れたいということだという考え方です。
「背中が落ち着かない」「お尻が痛い」という場合。
背もたれの固さを変えたり、あるいは背もたれを外したり、ということがあります。
クッションやタオルなど手触り感や厚さ、硬さを変えてみたりしました。
他にも背中が落ち着かない理由として、姿勢保持のための筋力が不足しているということもあり、座面に低反発クッションを置き、座位を保持するサポートをしたこともあります。
「目が痛い」という場合もあって、これは僕自身も聞いた時には驚いて、アレコレと考えました。
結果、明るさが原因であることが考えられました。
要は、彼にとって学習する環境がまぶしかったのです。。
そこで、照明を一つ落として暗めの環境を用意したり、机に布を布いて、光の反射を防いだりして、環境を整えていきました。
それから本人の言葉として出てこなかったですけれど、「ちょっとじっとしてて」と伝えた後、身体全体を動かし始めた子がいました。
それで、ゆらゆらと揺れる刺激を欲していることが感じられたので、それまで4つ脚だった椅子を、座面が回転するキャスター付きの椅子に変えてみました。
それから、学校でも4つの脚についているキャップを1つ敢えて外して、カタカタと動くようにしてもらったこともあります。
こういうような手立てをして離席を解消したり、減らしたりしてきました。
難しかったのは、音が原因だった時です。
本人の嫌な音がしていた時のことです。
それが複数確認された時でした。
こういう時には、耳栓やイヤマフをするという方向になってくると思います。
あるいは、好きな音楽や音を流すということになるかと思います。
これは出来る環境とそうでない環境がはっきり分かれるので、様々なところへ配慮の依頼を都度していくということをしていかないとならなかったので、なかなか大変でした。
この音の件もそうですし、他の事例でも一時的にでもこういう「刺激」に着目して、そこをコントロールすることで離席が減ったということを、まずは僕と当人とで実感が持てるまで続けていきます。
その後に、その実績を引っ提げて、学校などへ合理的配慮の依頼をしていきました。
いずれにしても、理解を求めるための働きかけは必要かもしれませんが、一時的にでも協力を仰げて、「出来た」という経験を当人が積むことが出来れば、それが自信になって、情緒が落ち着き、離席が減るということがかなうかもしれません。
その先に、進路選択や人生の豊かさが待っていると僕は考えています。
「問題行動」と言われるようなことを押さえつけるようにして、抑え込むようにしていくばかりではなく、その背景にある理由を考え、そこにアプローチすることは、離席問題に限らず不可欠だと思うのです。
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