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2016年12月19日月曜日

一緒に味わいながら時間を重ねることで、本当の「困った」に出会える

「困り感」に対して支援をしていくのが支援者の基本になると思います。

周囲の人(例えば家族)が「困った」と声を上げていても、当人としてはそこに「困った感」があるとは限らないということです。
「問題行動」(この表現もあまり好きじゃないんですが)と言われる行動も、問題視して騒いでいるのが周りばかり、と言うこともあるわけです。

本人は別のところで困っているのかもしれません。

「困った」を他の行動(それが「問題行動」)で、すり替えていたり、紛らわせたりしているのです。

反社会的と言われるような行動はやはり消失させていくことが良いと思いますが、それが「本人の困った」に直結しているとは限らないということを知らなくてはいけません。

「何かに困った!」→「落ち着かないよう!!」→「よぉし、これで誤魔化しちゃえ!」という風になっているかもしれません。


「問題行動」と言われる行動の根っこにこそ支援をすべきなのです。



随分前に、プール指導をしていて半年経ってもなお、「プールサイドを走る」「プールに飛び込む」という行動が収まらない子がいました。

更衣室で体を拭いているときに、僕に向かってバスタオルを投げて目隠しをした後に猛ダッシュしてプールへダイブ!!という僕の中ではある種の伝説的な行動も見せてくれた子でした(笑)

ここで言う問題行動は「プールサイドを走る」「飛び込んでしまう」だったし、レッスンも全く体をなしてはいませんでした。
(正直この頃、この子とのプールが憂鬱でした)

それが、ある日を境にピタッと収まったのです。

それまで、なんとかかんとかレッスンを終えて水から上がる際に、いつもは僕が先に上がって「絶対に走らせない」という中で彼を水から引き上げていました。

それを彼に先に水から上がらせて、「一旦腰を掛けて待ってて」と指示を出して、それから僕が上がるようにしたのです。

たった、それだけのことで、半年間ルールが定着しなかったのに、ピタッと「問題行動」が無くなりました。

その当時、僕自身も意図してしたわけではなかったので、なぜあの日にそういうことが出来たのか分かりません。

ただ、今思うと、彼は「永田と呼吸、足並みを合わせたい」と思っていてくれたのだと思います。
それが僕の方が抑えることばかりに注力していたものだから、「彼と足並みを揃える」なんて考えもしなかったんです。

意図せず「待っててね」をして、「待てた」「一緒に出来た」という体験を共有できたことで、彼の不安、ソワソワ、ドキドキ、イライラ…そういうものを満たしてあげられたのかもしれないと思っています。

その後、彼はグングンと上手になって1時間のレッスンで1500メートル泳ぐことも出来るくらいに泳力も身に着けて、一人で着替えなどをさせても大丈夫なほどになりました.


「問題行動を抑える」というだけでは解決に至らないんです。
支援者は「本人の困った」に耳を傾ける必要があります。

そのためにも一緒に味わいながら時間を重ねていくことが大切だと思います。

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