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2016年12月27日火曜日

怖かったし、不安だったし、…。

今日、作文書きにやって来たK君。
好きな事について話をさせると止まらなくなってしまう、と以前の記事にも少し登場した彼との作文の時間。

ところが時間になっても、やって来ません。
電話をしてみようかな、と思ったところへお母さんから着信。

向かう途中、一本筋を曲がり損ねたら、道が分からなくなって、Uターンをしようとしたら側溝に脱輪してしまったとのこと。
現在地を説明してもらうと近くだったみたいなので、永田急行!

僕が到着すると、お母さんとK君が車の前でオロオロ…。
JAFを読んで、到着まで40分程かかるとのことなので、K君を預り、取り敢えずレッスンへ向かうことにしました。

このときのK君、肩が上がって腰の辺りもフワフワしてました。
歩き方が落ち着かないんですね。

でも、「大丈夫だった?」と声をかけると平静を装って「うん」と答えて、状況を話してくれました。

ここで僕の解釈としては、「あぁ、自分のドキドキとか不安に蓋してるな」だったんです。

これはよろしくない、なんとか1度、自分の気持ちを出させないと、自分の気持ちに気付かせないと、と思いました。

永田「よし、今日は珍しい体験したね。今日の体験を記録に残しましょう。作文の課題は『今日の事故について』にします!」(話にすれば状況を上手に説明するだろうけれど、書かせると無理だろうな、という見立てはありました)

K君「うん、出来ると思う」

(ほほぅ、どうなるかな?)

で、部屋に着いていざ、書き始めようという段になったら、固まってしまいました。

永田「まずは、どんなことがあったのか、さっき聞かせてくれたことを書いてみて、その時にどう思ったか、ということを加えたら十分やないかなぁ」

K君「うん…。」

どんどん声も小さくなっていって、50センチの距離にいても聞き取れないことをブツブツ言い始めました。

しばらくは、K君が浮かび始めた感情とどう向き合うのか見守ってみました。
僕は、こういう時、割とゆっくり間を取る方だと思います。
他の作業をするふりをしながら「どんな感じかな~」と呟きながら…。

ここで、直ぐに介入するのは、感情の横取りになりかねないとも思うんです。

しばらく待ってみましたが、一行「タイヤが溝にはまった」という事実を書いたきり止まってしまいました。

涙目になっていて、「書けない、なんて書いたら良いのか分からないよ」と呟き始めました。

永田「よぉし、書くの止めるか。今どんな感じ?」
K君「分からない…。(ボソッ)」
永田「怖かった?」
(K君うなずく)
永田「それに驚いたね」
(うなずく)
永田「お母さんのことも気になるね」
(うなずく)
永田「よし、今日はもう止めてお母さんのところに向かおう」

K君は、帰りの支度をしながら、状況を話始めました。
永田「気持ちに蓋をしない練習やね。僕が作文だけ、教える人じゃないってのは感じ始めてるやろ?これからどんどんうるさいおじさんになって、突っつき回すからなぁ(笑)」
K君「うん」

そうして、お母さんの元に送り届けて、今日の様子をお母さんに伝えて、今日の支援終了。

以下、今日の様子からの僕の考えも。

元々は「自己表現が苦手」として、僕のところにくることになった彼だけれど、苦手なのは「自分の気持ちに共感すること」。
自分の気持ちを味わうことで、苦しくなる、あるいは苦しくなりそうになることってありますよね?
そういう場面に出くわしたら、彼は蓋をして、自分は何ともないことを装います。
一種の防衛です。

彼自身、そのことには気が付き始めている気がします。

蓋をして、平静を装ってやり過ごすから、周りから気付かれない。
気付かれないから、段々と「まぁ、いいや」と、伝えないことが当たり前になる。
けれど、溜まるものは溜まっていくから、ふとした拍子に、本人も予想しないタイミングで、予想しない出方をするものだから、本人も周囲も驚く。
結果、「原因が分からない」「つかみ所の無い子」となる。

そんなことをしてきたんじゃないかな?と思います。

これは本当に少しずつ練習をしなくてはいけないと思います。

気持ちに蓋をして、表出することに慣れていない子の気持ちの蓋を開くと、開き過ぎになってしまいます。
少しずつ開いて、また閉じて、をするイメージを持って働きかけが必要かな、と思っています。
開きっぱなしだと、日常がしんどくなることもありますし。
一気にやると体調まで崩してしまうことがあります。

ちゃんと、関わりの中で、また閉じるところまで、しばらくは付き合っていき、少しずつ意図的に自分の蓋を開く術を身に付けてほしいです。

そうして、新鮮な気持ちを上手に相手に届けることに繋げていってほしいと思います。

こういうちょっといつもと違う過ごし方をしているので、お母さんにも様子と、これから起こるかもしれない、と想定できることをお伝えしました。

びっくりしないように。

ここでお母さんにびっくりさせると、また気持ちを出すことに臆病になっちゃいますから。

子どもの支援をする中で、平行して子どもの変化に驚かせないよう、保護者へのフォローも必要なんだと思います。
それが子どもの支援に繋がります。

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