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2016年12月16日金曜日

子どもたちだってやっぱり自分のありのままが好き

今、関わりのある女の子Eちゃんの様子を見ていて、前職場時代に関わりを持っていたT君を思い出すことがとても多いです。
T君は重度の自閉症。
当時小学校の5年生。
言葉としては2語文くらいかな。

そんな彼との思い出を記録としてとどめるために。
あの日の出来事は僕の中で凄い嬉しかったから。



写真を撮る場面で、T君は、ピースが出来ませんでした。
手の形が作れない、というのではなく、ピースを作って「わーい!!」っていう雰囲気の中で写真に写ることが出来なかった、という意味で。

カメラを向けると、その場で止まって、足は「気を付け」をして、手は自分の方を向けてチョキを作るんです。
つまり相手に手の甲を見せた形でピースを作っていました。

多分「T君、ピース!ほらほら、こうだよ」って具合に正面に立って教えられたものだから、「手の平側を自分の方に向ける」という風に視覚的に覚えてしまったんですね。
そして「動かないでね~」が「気を付け」を作ったと思います。


そんな彼を含めて、子どもたち数人と日帰りで一日ハイキングに出かけたことがありました。

写真を撮ろうとすると、何をしていても中断して「お決まりのポーズ」で移ろうとするんです。
記念写真のような写真が続いていました。

そこで隠し撮りを敢行。

写真に写ること自体は好きなようで、隠し撮りをしようとしても目敏くカメラを見つけて
「お決まりのポーズ」(笑)
そして、カメラを覗きに来て、写りをチェック♪(お行儀よく映ってますから)

でも、僕が撮りたかったのはそういう写真じゃなくて、自然体の彼。

思考錯誤しながら、何とか隠し撮りに成功。

永田「T君、来て」
T君にカメラを見せて、自然な彼の姿を見せてあげました。

予期せぬ一枚を見せられて、一瞬「あれ?」っていう顔をしていたことをよく覚えています。
食い入るように見ていました。

次にまた「T君」と声をかけて写真をパシャリ。
当然「お決まりのポーズ」で写って、チェックに来ます。
でも、サラッと見て終わりだったんです。

おや?と思うわけです。

今度はもう一度隠し撮り。
永田「T君、ほら撮れたよ」
また食い入るように見ています。

永田「ほらT君、あなただよ。良い表情しているね。素敵」

T君がほんのり笑顔を作りました。
永田「こういう写り方もあるんだよ」

T君はそのまま友達のもとへ戻っていきました。

その後、何回かこういうやり取りを繰り返していくうちに、呼びかけて撮っても「お決まりのポーズ」以外のポーズで写真に写りだしました。
最初はぎこちなくピースの位置をずらすくらいでしたが。
「気を付け」だった足が少しラフな姿勢になったり、視線もイマイチ定まっていなかったものがレンズに向けられるようになったりもしました。

気が付いた時にはピースをカメラの方へしっかりと向けて写れていたんです。


数年前の話でした。



Eちゃんとは、個人的にプールで関わりもありますが、放課後等デイサービスでもお付き合いの機会がありまして、外出に同行することもあるわけです。


そんなEちゃん、写真を撮ろうとカメラを向けると「きちんと止まって」ポーズを取ってくれます。

ただ、当時のT君のように、「毎回同じお決まりのポーズ」です。
そして、撮った写真にもそれほど興味を示す様子が見られません。(少なくとも嬉しそうに見るという感じではないです)

でも、彼女の様子を見ていると、すごく柔らかな表情でものごとを観察しているし、穏やかな笑顔もたくさん持っています。
もちろん子どもらしい、いたずらっぽく笑う表情も持っています。

呼びかけずに写真を撮るとそういう表情も捕まえることが出来ます。
そういう写真を見せたときの方が嬉しそうに見てくれている気もしています。


どんな場面でも写真を撮ることを伝えるとやっぱり「お決まりのポーズ」になってしまうんです。

僕はそのうちに彼女に「その時、その瞬間の思い出」としての写真の写り方が出来るようになってほしいと願っています。

無理に表情を作るんじゃなくて。
義務的に映るんじゃなくて「その時の自分らしい」ポーズなり表情をカメラに向けられるようになってほしいと思っています。

あまりにしつこくカメラを向けられて「もういいよ…」っていう表情が写真に写り込んだっていいと思います(笑)


写真のことを話に挙げましたが、「自分のことが好き」と思ってほしいんですよね。
ナルシスト云々なんて小さな話でなく。
因みに、僕は…自分が大好きです(笑)




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